中田宏チャンネル_161017_345_大統領選挙

問題「世の中の不安を食べて大きくなるものは何でしょう?」

10月9日(現地時間)、アメリカ大統領候補の共和党=ドナルド・トランプ氏と民主党=ヒラリー・クリントン氏の第2回目のテレビ討論会が行われました。

「本当に酷い。アメリカどうなってるんだ?」と思わざるを得ない討論会でした。

超大国の大統領になるべく哲学や理念を述べ、それに連なる政策を語る場としてアメリカ国民でもない日本人も注目していたテレビ討論会です。
しかしトランプ氏の過去の発言の酷さに加え、それを取り繕って論理をすり替えてクリントン氏の夫(ビル・クリントン元米大統領)に対する追及する姿勢といい、呆れてモノが言えない討論会で、ゴシップ・非難の応酬でした。
まだクリントン氏の方がまともです。
夫のことがあろうが本人に大統領の資質があれば良いわけですが、トランプ氏個人にはその資質がありません。
まさにクリントン氏の言うとおりです。

資質がない人が共和党の大統領候補に選ばれていること自体、「共和党どうなってるの?」という話でもあります。
共和党内で候補だったジョン・マケイン氏をはじめ、トランプ氏を支持できないと表明する人が出てきたのは、このままでは共和党や自分たちに矛先が向くことを懸念してのことでしょう。
トランプ氏の発言はどんなに並べても大統領としての体系的な見解や政策にはなっておらず、常に人の否定すなわち「イスラム教徒、日本、中国。あれがダメだ、これがダメだ。だから私に任せろ!」という言い方です。

トランプ氏の発言を聴いているとポピュリズムという言葉を思い出します。
日本ではポピュリズムというと“衆愚政治”や“人気取り”などと捉えられますが、学問的にはポピュリズムはイデオロギーではなく今の状況に対する否定が前提になっていると言います。
例えば1990年代のポピュリズムを見ると“新自由主義”を唱えるポピュリズムもあれば“高福祉”を唱えるポピュリズムもあり、対極にあるものでもいずれもポピュリズムになるわけです。
現状の既得権者に対する不満のはけ口、エリート層に対する異議申し立てをするのがポピュリズムで、トランプ氏自身はこれを行うことによって自分への票を集めている状態です。

アメリカ大統領選がこのような状態にあるのは非常に嘆かわしいことです。
アメリカは軍事大国で自国中心、日本や他国にとって不都合な発言もしますが、それでも(一応)世界全体を見渡したある意味での頼りがいや正義があり、秩序を持って世界に貢献してきたからこそ一目置かれてきたのです。
しかしアメリカが自国のことしか考えない“体は大きくて乱暴者”になってしまえば世界にとってマイナスでしかありません。

今回の大統領選を見ているとつくづく情けなくポピュリスト・トランプ氏は見るに耐えません。
明らかにクリントン氏の方がまだマシです。
これから先クリントン氏なら“世界のアメリカ”を意識してくれることは間違いないでしょう。

問題「世の中の不安を食べてどんどん大きくなっていくものは何か?」
答えは「ポピュリズム」です。

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