中田宏チャンネル_160728_#292_都知事足の引っ張り合い

先週、私が出演したフジTV系列『バイキング』で、東京都知事候補の小池・増田・鳥越、3氏の候補者が揃いました。
その際、鳥越氏が小池氏の演説中の発言をとらえて『小池さん、あなたは「病み上がりの人連れてきてどうするんだ」と言いましたか?』と追求し、小池氏がそれに反応すると、今度は鳥越氏が「差別だ!」と言い出し、何だかどちらも足の引っ張り合いをしているように見えました。
果たして最初に言った小池氏がネガティブキャンペーンなのか、それとも差別だと言い続けた鳥越氏がネガティブキャンペーンなのかはわかりませんが、まだ尾を引いています。

先日ある方から「なぜ選挙は足の引っ張り合いが多く、政策議論にならないのですか?」と聞かれました。
確かに選挙時には足の引っ張り合いが多く、地方では特に多いと聞きますし、同じような例は都市部でもあります。
「金」「異性」「かつての素行」などが書かれた作者不詳の怪文書、悪口合戦のようになったりもします。

これはゲーム理論でいうゼロサム・ゲーム(利益と損失の総和がゼロになること)と似たようなことです。
どちらかが得をすればどちらかが損をするということです。
全体数が決まっているなかで取り合うので、一つが上がれば一つは下がるが全体の総和は一緒ということです。

選挙では有権者数が決まっていて、そのうち選挙に行く人たちの人数も大体決まっています。
となれば、片方の足を引っ張って落としめれば、もう片方がベターチョイス(よりベターな選択)になるという発想になり、テレビの討論会などでネガティブキャンペーン・相手の批判が多くなってしまうのです。

この話題になると、私は数年前のある事件を例に出します。
新しく出来た焼肉屋に来店した客の車が次から次へと傷つけられ、逮捕された犯人は100m先の昔からある焼肉屋の店主だったという事件で、昔からある焼肉屋が、新しくできた店に客が流れてしまったことに対する腹いせと、自店に客を戻したいがために次から次へと車に傷をつけていたというのです。

しかし、これで果たして客は戻ってくるでしょうか?
焼肉屋なら美味しい肉・良いサービスを提供しないと客は来ません。

ましてや外食産業ではステーキや焼き鳥など他のチョイスもありますし、客を取られた新しい焼肉屋を事故が多い店のように仕立てたからといって、自分のところに客が戻ってくるゼロサム・ゲームにはならないのです。

ところが選挙は、限られた候補者・限られた有権者・限られた投票に行く人となっていて、ゼロサムが成り立ってしまう現実があります。
相対的なゼロサム・ゲームに没している政治家たちをギャフンと言わせるためには、有権者側が相対評価だけではなく絶対評価の指針を持つことが大事です。
国政選挙であれば憲法や経済について、今回の都知事選挙であれば保育園や高齢者福祉についてなど、票を投じる側がこだわりを持つのです。

人間同士ですから優先順位の低いことには「ここは私と考え方が違う」ということもあるでしょう。
しかし「私がこだわっているのはここなの!」という絶対的な評価基準を有権者が持って、足の引っ張り合いをなくしていくことが大切ではないでしょうか。

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