中田宏チャンネル_160616_#263_銃乱射事件

アメリカの現地6月12日の夜、フロリダ州で銃乱射事件がありました。
「またか」と思う事件ですが、米乱射事件史上最悪の50人が亡くなる悲惨な事件となりました。

犯人はすでに射殺されていますが、アフガニスタン出身の両親、ニューヨークで生まれ育ったなどと報じられています。
事件の背景としてイスラム原理主義者だったのかもしくはそれに傾倒していたのか等々については詳細はまだ分かっていません。

アメリカ社会は銃規制が厳格ではありませんし、裏を返せば銃を持つことは一つの権利となっています。
こうした事件は度々起きているわけですが、事件の背景にイスラム原理主義であったとしても、これを政治的に煽り立てて活用していくことの危うさを感じます。

早速、ドナルド・トランプ氏が「イスラム過激派のテロに対し、私が正しいことを主張してきたという祝意に感謝する」と発言をしました。
今後さらにこのイスラム教徒について言を強めていく方針がよく見えます。
すでにトランプ氏は「イスラム教徒は追い出せ!」「入国させるな!」という発言を繰り返しています。

トランプ氏の発言を受けて思い出すのは、フランス極右政党「国民戦線」マリーヌ・ル・ペン党首です。
彼女は「イスラム教徒をフランスから追い出せ」「イスラム教徒は敵だ」「イスラム教徒と戦争しなければいけない」と言い続けてきました。
国民戦線にはそれなりの歴史がありますが、なかなか政治の表舞台に出てくることはありませんでした。
しかし11月のフランステロのあと、12月の地方選挙で国民戦線は大躍進を遂げました
フランスでは2回に分けて投票が行われるのですが、1回目の投票の際にル・ペン党首率いる国民戦線が13選挙区のうち6つで首位に躍り出たのです。
それに対して2回目の選挙で共和党と社会党が手を組んで「極右政党にそんなに議席を与えてはいけない」というバランスが働いて、国民戦線の議席は最小限にとどまりました。
しかし1回目の投票では、共和党27%・社会党23%に対し国民戦線は28%と最多票率を獲得し、一位に躍り出たというフランスの政治史上における大変な事態になっていました。

長引く不況があって、地域に移民が増えてきていたところにさらにテロが起きたことが国民感情に火を付けたわけですが、イスラム原理主義とイスラム教徒は違います
イスラム教徒から見てもイスラム原理主義は「イスラム教」ではないという代物ですし、アフガニスタンやイラクなどの国の問題はありつつも、今まではそれに対する米欧の対し方がありました。
ここで一気にトランプに感情が流れて「トランプ大統領」になるようなことになってはならないと思いますし、アメリカでは銃規制が十分ではないという別の背景もあります。

フランスでは、一気に極右政党に流れることに対して既存政党がギリギリで歯止めをかけましたが、アメリカでもトランプ大統領が感情論で国民に火をつける、あるいは国民が「そうだ!」といって一気に盛り上げることがないようにしっかりと冷静な議論が必要です。
アメリカ国民は、試されています。

<著者>
中田宏
1993〜衆院議員(3期)、2002〜横浜市長(2期)、2009〜総務省顧問、2011〜大阪市特別顧問、2012~14衆院議員。青山学院大経済学部卒、松下政経塾(10期)卒

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