中田宏チャンネル_160602_#253_ラオス

先週開催された伊勢志摩サミットでは「拡大会合」も行われました

アジアで行われるサミットということで議長国である日本がリードして、アジアやアフリカの国々そして国際機関などを招待しました

私が注目したのはラオスです。
ラオス人民民主共和国・トーンルン首相が招待されましたが、ラオスはASEAN(東南アジア諸国連合)議長国の立場で招待されているのが最大のポイントです。

G7では海洋安全保障について一致を見ましたが、これは対中国向けと言っていいでしょう。
その中国に領有権を侵されているのがベトナムやフィリピンなどですが、ASEANの一員なので「ASEANで一致した見解で中国に対応したい」と何度も主張しています。
ところがASEANはなかなかまとまらないのです。
なぜかというとこのラオスが、“キーパーソン”であり“くせ者”だからです。

ラオスやカンボジアは完全に国寄りです。
感情的になどでなく援助を山ほどもらっていて経済的結びつきがべったりで中国には逆らえない状態です。
日本政府の発表資料によると、サミット後の2国間会議で安倍首相がラオス・トーンルン首相に「ASEANの一体性を極めて重視している」「トンルン首相のリーダーシップへの期待している」と伝えています。
ASEANの一体性とはつまり「ASEANで中国に対して一致した対応をしてください」ということです。

一方、トーンルン首相は安倍総理に「ASEANの一体性が重要である」ことを前提として「全ての関係国との間で緊密に意見」調整を行い、「全ての関係国に受け入れられる合意を形成するよう努力する」と発言しています。
すべての関係国が一致することが大事だと言っていますが、一致に反対するのがラオス自身なので、ラオスの意見を含めなければダメだと言っていると解釈してよいでしょう。

また、5月29日の日本経済新聞にはトーンルン首相の独占インタビューが掲載されましたが、そのなかで南シナ海の領有権について「平和的な解決に向けた対話を関係国に促していく」と答えています。
つまり、「“中国とベトナム”“中国とフィリピン”のそれぞれでよく話し合ってください」ということで、ASEANとして一致するのは難しいと言っているのです。

ラオスはASEANの議長国ですからある種の鍵を握っていますが、方向転換することはないでしょう。
中国はASEANに入っていませんが、カンボジアやラオスと意を通ずることによって、実態は拒否権を発動できる状態になっているのです。

国際関係ではこのようなせめぎ合いが続いています。
日本やフィリピン、ベトナムの領有権への主張は客観的に見て正しいです。
しかし正しいからといって通用するわけではない、ここが国際関係の難しいところです。

<著者>
中田宏
1993〜衆院議員(3期)、2002〜横浜市長(2期)、2009〜総務省顧問、2011〜大阪市特別顧問、2012~14衆院議員。青山学院大経済学部卒、松下政経塾(10期)卒

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