中田宏チャンネル_160513_#239_アメリカ大統領

アメリカの大統領選挙は事実上、民主党のヒラリー・クリントン氏共和党のドナルド・トランプ氏が候補者として決まり、この2人が大統領選の本戦を戦うことになりそうです。

昨日のブログ「【フィリピン】「ぶっ殺す!」とか言ってた人が次の大統領に!でフィリピンの新大統領に決まったドゥテルテ氏を「フィリピン版「トランプ」」だと書きました。
「本家」トランプ氏も勝つために耳目を引くためなら何でも言う、勝つための方便で様々な発言をしているならばまだ許せます。
しかし、それがトランプ氏の無知からのものであれば深刻です。
「無知」は間抜けやアホよりもっと深刻な状況です。
モノを知らない人がアメリカ大統領になるようなことになれば世界の悲劇です。

5月10日の日本経済新聞に「トランプ氏指名、悲劇の始まり」というタイトルのイギリス・エコノミスト誌の論説が載っていました。
そこには、トランプ氏がたとえ大統領にならなくても悲劇はもはや始まっていると書かれています。
例えば、この先の半年間、トランプ氏から対抗馬である「民主党のクリントン氏はペテン師で嘘つきだ」と繰り返し聞かされると、クリントン氏が勝ったとしてもその言葉は人々の心に残り、そう信じた人はペテン師が大統領になったと怒り、クリントン政権は弱体化していろいろな意味でやりにくい状態を作ってしまうとしています。
また、他の共和党の人達が、移民排斥主義と経済ポピュリズムを掲げて党候補に指名される道もあると考えるようになるのではと書かれています。
トランプ氏の主張から最も過激な部分を取り去れば次の選挙で勝てるのではないかという声も上がってくるはずだというのです。
エコノミスト誌は、仮にトランプ氏の大統領選がいま終わったとしてもすでに実害をもたらしており、さらにその被害は今後数ヶ月は拡大するとして、トランプ氏の発言が残した爪痕の大きさを伝えています。
私もこのことを本当に危惧しています。

例えば日米安全保障条約について、トランプ氏は「不公平すぎる。日本はアメリカに守ってもらっているのだから負担金を全額出せ」と言っていますが、実は日本が在日米軍関係にお金を出しているのは「思いやり予算」と呼ばれ、労務費や光熱費などで1,900億円、用地の借り上げ等周辺の対策費で3,490億円、基地の交付金などで390億円などを入れて約7,250億円です。
それに対してアメリカは約5,830億円ですから、日本側の方が高いのです。

日米安保条約第6条には「極東の平和と安全の維持に寄与するため」と書かれており、日本を守るためだけのものではなくて極東の安全を守るためのものなのです。
最近では南シナ海だけではなく太平洋にも中国の潜水艦が往来するなかで、アメリカの防衛のためにも在日米軍基地は重要な拠点であるということです。
だからといって日本がアメリカに「してあげている」という話でもなく、まさに日米同盟という全体像の中でこの地域の世界の平和と安全に寄与しているところに日本も(金額の多寡はともかく)負担しているということではないでしょうか。

トランプ氏の言葉を聞いていると、刺激的な言葉で一時的に感情を高めてアメリカ国民がミスリードされかねないと懸念を抱きます。
私が動画やブログで発信しているのも、日本のマスメディアなどの上辺だけの刺激的な言葉でミスリードされないようにするためで、そのためになるべくわかりやすく、さまざまな見方を提示するように心がけています。

くれぐれも刺激的な言葉でミスリードされないようにお互い注意していきましょう。

<著者>
中田宏
1993〜衆院議員(3期)、2002〜横浜市長(2期)、2009〜総務省顧問、2011〜大阪市特別顧問、2012~14衆院議員。青山学院大経済学部卒、松下政経塾(10期)卒


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