中田宏チャンネル_160310_#198_北海道新幹線

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私の論文が掲載されている雑誌『Voice』2016年4月号PHP研究所・780円)が発売されました。
総力特集は「チャイナショックが来る」ということでこちらにも関心はありますが、「日本の構造研究所代表」という肩書で私が総力を挙げて書いたのは「新幹線は地方を幸せにするのか」というテーマで寄稿した論文です。

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実は先週、これを記念するわけではありませんが、新幹線が開通したあとの青森から岩手に向けて「青い森鉄道・IGRいわて銀河高原鉄道」の鈍行の雪の旅をトコトコトコトコして来ました。

これらの鉄道は以前は旧国鉄(日本国有鉄道)、そしてJRの東北本線でしたが、東北新幹線の青森までの延伸に伴いJRの経営から切り離されて現在は第3セクターとして運営されています。
JRから切り離された並行在来線といわれる鉄道は万年赤字であることは先週のブログ「【北海道新幹線】秒読みだけどケチつけます。あ、20年前からですが」でも書きましたし、論文では全て数字を検証した上で詳述してあります。

新幹線を作った場合の国全体や地域にとってどのくらい利益になるかは、当然ながら計画の段階で計算されます。
終始採算性と呼ばれ、新幹線を作った場合と作らなかった場合の利益の差を出すわけです。
「作った方が利益になるので作りましょう」という収支採算性は聞こえはいいですが、これには山ほどからくりがあります。
だいたい新幹線の建設費は入っていなかったりと実際の見積もりが甘いのです。
例えば昨年開通した北陸新幹線は、収支採算性を計算した時の77%しか実際には新幹線に乗っていません。
それでも、長距離料金・特急料金・グリーン料金などが入ってきて儲かるのでJRはこれでもよいのです。

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しかし、先日乗ってきたような並行在来線は儲かるはずがありません。
青森から岩手・盛岡までの青い森鉄道・いわて銀河鉄道の運賃はトコトコ3時間半乗って5480円で、東京からだと神奈川、静岡を越えて、名古屋手前の愛知県岡崎駅まで行けるだけの運賃5620円とほぼ同額です。
いわて銀河鉄道の場合、通学定期はJR経営時代すなわち新幹線開通前に比べて1.99倍通勤定期は2.12倍になっており、沿線の住民の方々にとって大幅な値上がりです。

先週、青い森鉄道に対して国が青森県に「貨物調整金」として6億円を追加するとニュースが出ていました。
その貨物調整金も含めて、これから先も国民全体が負担を覚悟する必要があります。

結局は、収支採算性などという難しい言葉を使って、新幹線を作る結論に導くためにあの手この手で黒字に見せる計算のからくりです。
そして国全体の採算性は誰も考えていません。
私が平成9年に衆議院・運輸委員会でたった1人「全国新幹線鉄道整備法改正案」に反対したのは、これらのことが分かっていたからです。

これから新幹線の旅やグルメの番組、サンドウィッチマンのCMを見るたびにそして新幹線に乗るたびに、その裏側には赤字の垂れ流しがあることを忘れないでください。
皆さんには是非、雑誌『Voice』2016年4月号PHP研究所・780円)を読んでいただきたいと思います。