20151015_#098

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10月5日に大筋合意されたTPPについて、アメリカのヒラリー・クリントン氏が「現時点では支持できず」という方針を打ち出しているそうです。

ヒラリー・クリントン氏といえば、支持率が下がってきているとはいえ来年2016年のアメリカ大統領選挙における民主党の有力候補で、そのような方が反対をしていることで大きな報道になっています。

米国内のTPPの反応は、各種業界団体やその団体に関係する議員たちが、自分たちにとって損か得かだけで判断して主張しているのが現状です。
航空宇宙関連・農業・アパレル・自動車などからはさまざまな声もあるようですが、それでもおおむねアメリカ国内の製造業においては今回のTPP合意に賛成の方針のようです。
これに対し、タバコ産業や製薬業界などが今回の合意には反対しています。

ヒラリー・クリントン氏がどのような理由で否定的な発言をしているのかというと、労働組合から大きな支持を得る民主党の候補者となるべく「雇用」の観点から「現時点で把握している内容は望ましくない」ということだそうです。
そもそもクリントン氏は、国務長官時代はTPP推進論者でした。
しかし今回、他の議員たちが「雇用」の観点でTPPに反対のスタンスを打ち出している状況で大統領選挙を迎えるなか、自分だけ諸手を挙げて賛成というスタンスはとれないのです。
端的に言えば「選挙」が関係しています。

実は、同じような事例が安倍晋三総理にもありました。
総理大臣になる直前の野党時代の安倍さんは、TPPには極めて否定的な発言を繰り返していました。
公の場で「TPP、自由貿易の推進に対して、なぜ賛成ではないのか」「日本とアメリカの経済関係を強くして、経済のスタンダードを作っていく意味において賛成すべきではないか」と問われると、当時の安倍さんは「今の民主党にはその交渉能力はない。だから、私はTPPに対して現時点では反対といわざるを得ない」という主張をしていました。

反対の立場から総理大臣になって賛成・推進にまわった安倍さんのように、クリントン氏の「現時点では」も「選挙」を見越して発言していると見ておいた方がいいでしょう。

私がもっと深刻に捉えているのは、アメリカの議会がしっかりとTPPの合意内容を批准できるかという点です。
これから数ヶ月かけて細部を詰めていくことになるので、批准は来年2016年のアメリカ大統領選挙後になると思われますが、もしそこで批准されなければなんのために延長に延長を重ねて合意したのかわからなくなってしまいます。
アメリカの論調が各々にとっての損得の判断になっているなかで全体を考えて冷静な議論をしていく必要があります。

このようななか、アメリカのウォールストリートジャーナルの10月7日付けの社説が非常に冷静でした。
「TPPは経済的・戦略的・政治的に大きな恩恵をもたらし、長期的に世界の貿易の姿を変えるものだ。」と肯定をしつつも「詳細が決まるにはなお数カ月かかる可能性があり、それまでは評価を差し控えたい。」とし、さらにその上で、「米国の交渉担当者が保護主義的な圧力に屈しすぎ、TPPが失敗に終わることがあれば、それは歴史的な汚点となりかねない。」としています。

この考え方はTPPに関わる国々や利害関係を主張する人たちを含め最終的に判断する政治家が共有し持たなければいけない重要なスタンスです。


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